帯状疱疹後神経痛とは?
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帯状疱疹の合併症「帯状疱疹後神経痛」

「帯状疱疹後神経痛」は帯状疱疹の合併症で、皮疹が治った後も3か月以上いたみが続く状態です
● 帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛
そもそも帯状疱疹とは、ヘルペスウイルスの一種「水痘帯状疱疹ウイルス」が原因で起こる皮膚疾患です。
このウイルスは初感染時(主に幼少期)に水痘(水ぼうそう)を引き起こし、治った後も脊髄後根神経節やこめかみ辺りにある三叉神経節などに潜伏しています。潜伏中に加齢やストレス、疲労、免疫力低下などが誘因となってウイルスが再活性化すると、体の一部にピリピリしたいたみや違和感を覚え、その後同じ部位の皮膚にいたみやかゆみ等を伴う皮疹(赤い発疹や水疱)が現れます。なかには皮疹だけで、いたみが生じない患者さんもいます。
皮疹は通常、体を走る神経に沿って帯状に、左右どちらか一方に出現します。高齢になるほど発症しやすくなり、50歳以降は発症率が急激に増加します1)。



そして帯状疱疹によって皮膚の下を走っている感覚神経が損傷した結果、皮疹が治まった後もその箇所でいたみが続くことがあります。このいたみを帯状疱疹後神経痛と言います。


潜伏していたウイルスが再活性化して感覚神経を伝って移動し、皮疹が現れます。


感覚神経がダメージを受けた影響で、いたみだけが残ることがあります。
● 帯状疱疹後神経痛の特徴
帯状疱疹後神経痛は最も頻度の高い帯状疱疹の合併症で、患者さんの10~50%で生じるとされており2)、50歳以上の帯状疱疹後神経痛の移行率は約20%という国内の研究結果もあります3)。
帯状疱疹を発症してからどれくらいいたみが続けば帯状疱疹後神経痛なのか明確な定義はありませんが、3か月以上(90日)続くいたみを指すことが一般的です。
帯状疱疹後神経痛を発症する危険因子は、以下のものなどが挙げられます4)。
- 急性期(帯状疱疹を発症した時)に強くいたんだ
- 皮疹がひどかった
- 眼の神経に症状が現れた
- 年齢
- 1)Kawai K, et al:BMJ open.2014;4(6):e004833
- 2)厚生労働省 帯状疱疹「ファクトシート」(平成29 (2017)年2月10日 )
- 3)Takao Y, et al:J Epidemiol. 2015;25(10):617–625.
- 4)Forbes,H.J. et al.:Pain.2016;157(1):30–54.
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監修
春日部市立医療センター
ペインクリニック内科
主任部長
日本大学医学部
麻酔科学系麻酔科学分野
臨床教授
加藤 実 先生