遷延性術後痛 とは?
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術後しばらく続くいたみ「遷延性術後痛」

遷延性術後痛という、手術した箇所が治っても、いたみがしばらく続く場合があります
神経障害が原因の場合、ビリビリするいたみ、絞られるようないたみなどが現れます
● 遷延性術後痛とは
遷延性術後痛とは手術した箇所が治ってもしばらく続くいたみのことで、感覚神経の障害が原因の場合があります。
遷延性術後痛の診断基準として以下の5項目が挙げられています1)。
- 1. ❶ 慢性的ないたみ(3ヵ月以上続くもしくは再発するいたみ)がある
- 2. ❷ 術後にいたみが始まったか、いたみの強度が増した
- 3. ❸ いたみは以前手術した箇所に限られている
- 4. ❹ いたみは少なくとも3ヵ月以上続いている
- 5. ❺ 感染症や悪性腫瘍、手術前からあるもの、その他の原因ではないいたみ
遷延性術後痛が生じる可能性のある手術には、乳房切除手術、鼠径ヘルニア手術、胸部手術、人工股関節置換術、四肢切断などです。腹腔鏡手術のように傷が小さく、体への負担が比較的少ない手術でも発症することがあります。
遷延性術後痛の危険因子は、術前要因として年が若い、女性、患者さんの心理的背景(うつや手術に対する不安)など、術中要因として手術術式や麻酔の方法、神経損傷の有無など、術後要因として術後すぐのいたみ(急性痛)の程度、術後のいたみの管理などがそれぞれ知られています2)。

● 遷延性術後痛の症状


遷延性術後痛で感覚神経の障害が原因の場合、手術した部位に以下のように表現されるいたみが現れます。
(いたみの表現例)
- ビリビリするいたみ
- 刺すようないたみ
- 絞られるようないたみ
- 締め付けられるようないたみ
- つかまれるようないたみ
このほか、痛みの場所に一致してアロディニア(健康な状態であれば「いたい」と認識しない程度の弱い刺激でもいたみが生じる。別名:異痛症)が生じたり、痛覚過敏(いたみを強く感じてしまう)などが現れることもあります。
- 1)International Association for the Study of Pain. Definitions of Chronic Pain Syndromes. https://www.iasp-pain.org/advocacy/definitions-of-chronic-pain-syndromes/(2024年12月2日に閲覧)
- 2)C. Richard Chapman,Charles J. Vierck.The Journalof pain,18:p359.e1-359.e38April 2017
監修
春日部市立医療センター
ペインクリニック内科
主任部長
日本大学医学部
麻酔科学系麻酔科学分野
臨床教授
加藤 実 先生