腰部脊柱管狭窄症によるいたみの「治療」
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まずは保存療法を中心に、重度の場合は手術を検討

「腰部脊柱管狭窄症」によるいたみの治療では、
- 1. ❶ 薬物療法
- 2. ❷ 神経ブロック療法
- 3. ❸ 運動療法
- 4. ❹ 手術療法
などが行われます
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1. ❶ 薬物療法
いたみやしびれなどを和らげ、歩行機能を改善させるために行います。腎機能や消化器など他の器官への影響や、高齢者にしばしば見られるポリファーマシー(多くの薬を服用することで、副作用をはじめとした有害事象が生じること)なども考慮したうえで、経口プロスタグランジンE1誘導体製剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といった薬を1種類だけ服用したり、いくつか組み合わせたりして治療を進めていきます。
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● 経口プロスタグランジンE1誘導体製剤
脊柱管が狭くなったことで圧迫された血管を広げて神経の血流を改善し、いたみやしびれ、神経性間欠跛行などの症状を抑えます。
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● 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
ステロイド(合成副腎皮質ホルモン)以外の抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を持つ薬剤の総称で、いたみを発生させる物質の産生を抑制することで、いたみを抑えます。
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● Ca2+チャネルα2δリガンド
いたみを脳に伝達する神経の中継点で、いたみを伝える物質(神経伝達物質)が過剰に放出されるのを抑えることで、いたみを軽減します。
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2. ❷ 神経ブロック療法
いたみの原因となっている神経の近くに局所麻酔薬やステロイド(合成副腎皮質ホルモン)などの薬剤を注射して、いたみを軽減させる治療法です。腰部脊柱管狭窄症の場合、主に腰から注射します。
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3. ❸ 運動療法
いたみ・しびれの緩和や身体機能の改善などを目的として行われています。運動療法の初回のみ指導を受けその後は患者さんおひとりでホームエクササイズとして進めることもできますが、理学療法士などの専門家の指導下で運動療法を実施すると特に効果的だと言われています。
例えば腰痛について学びながら、徒手的治療(理学療法士が患者さんの体に直接触れて行う治療のこと)と運動療法を一緒に進めるといった包括的なトレーニングプログラムなどが行われています。
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4. ❹ 手術療法
薬物療法、神経ブロック療法、運動療法といった保存療法を行っても効果が見られない、また膀胱直腸障害などの神経症状が重いといったケースでは手術療法が選択されます。
手術方法は神経を圧迫している骨や靱帯などを取り除く除圧術と、取り除いたあとに不安定な腰椎(腰の骨)へスクリューやケージなどのインプラントを挿入して安定させる固定術も併せて行う術式に大きく分けられます。また、内視鏡や顕微鏡を使う低侵襲(手術の際の傷口を小さくしたり出血を減らしたりなど、患者さんの体への負担が少ないこと)な手技が広まっています。
監修
福島県立医科大学
医学部 整形外科学講座
准教授
二階堂 琢也 先生