帯状疱疹後神経痛の予防
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帯状疱疹後神経痛の予防、そしていたみとの対応法

帯状疱疹後神経痛を予防するために、まずは帯状疱疹を早期に治療します いたみが長引いた場合は薬物療法などの治療、そして体を温めたり患部への刺激を避けたりして、強いいたみを減らす工夫をしていきましょう
また、いたみにとらわれないで日常生活を過ごすことも重要です
● まずは帯状疱疹の早期治療を
帯状疱疹後神経痛を予防するためには、根本となる帯状疱疹の早期治療が重要です。発症したら速やかに抗ウイルス薬を投与し、感覚神経の損傷をできる限り抑えます。
また、精神的ストレスの認識や日常生活で起こるネガティブな出来事といった心理社会的要因が、帯状疱疹後神経痛の発症率を上昇させる可能性が指摘されています1)。規則正しい生活を心がけ、ストレスをため込まないようにしましょう。いたみがストレスとなっている場合は医師に相談し、帯状疱疹後神経痛という痛みの病気を知ったり、痛みが続く仕組みを知ることで、過剰な不安や恐怖感を減らすことも大切です。

● (移行した場合は)帯状疱疹後神経痛を少しでも減らし、日常生活の改善を目指す生活へ
帯状疱疹による皮疹が治まってもいたみが続く場合は、帯状疱疹後神経痛に移行した可能性があるため、なるべく早く医療機関を受診し薬物療法を軸に治療していきます。また、疲労やストレスをためず、睡眠を十分にとることも心がけましょう。
冷たい刺激はいたみを悪化させる恐れがあり、逆に温めることでいたみを軽減できることがあります。入浴やカイロ・湯たんぽを使うなどして体をよく温めましょう。カイロや湯たんぽを使用する場合は、低温やけどにならないよう皮膚に直接あてるのは避けてください。
アロディニア(異痛症)でかすかな刺激でも痛みを感じるような場合は、肌への刺激が少ない下着を検討するなどしてみましょう。
また、有酸素運動などの一般的な運動は慢性的ないたみの改善に有用とされています2)。こうした対策で、いたみを少しでも減らし、日常生活の改善を目指すことが重要です。



● 「いたみ」にとらわれない
帯状疱疹後神経痛は数か月から数年にわたることがあり、治療中はいたみをできる限り減らすことが重視されます。
いたみに意識が行き過ぎると、「いつ治るのか」など先行きが不安でストレスを抱えより症状が悪化したり、いたみを恐れて過度に行動を控えてADL(日常生活動作)が低下したりする可能性があります。
いたみが軽いときはできる限り体を動かしたり趣味などを楽しんだりして、いたみにとらわれない時間を増やしていきましょう。いたみとうまく対応し、日常生活を送っていくことが、いたみの予防につながります。
帯状疱疹を予防するには、免疫機能を低下させないよう健康的な生活(バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠時間の確保、ストレスをためない等)を心がけるとともに、ワクチン接種が有効とされています(50歳以上の方が予防接種の対象)。帯状疱疹ワクチンは2種類あり、効果や接種回数、費用等が異なります。
※自治体によっては接種費を助成しています。ただし、ワクチンを接種すれば必ず帯状疱疹を予防できるわけではありません。
帯状疱疹にまだかかっていない方、周囲に対象の方がいる場合は
ワクチン接種を検討してみてください(勧めてみてください)。
接種する場合は医師に相談しましょう。

- 1)Takao,Y et al:Am J Epidemiol. 2018 ;187(2):251-259.
- 2)慢性疼痛診療ガイドライン作成ワーキンググループ編:慢性疼痛診療ガイドライン.真興交易,東京,2021.p128
監修
春日部市立医療センター
ペインクリニック内科
主任部長
日本大学医学部
麻酔科学系麻酔科学分野
臨床教授
加藤 実 先生